Australia-Japan Research Project

オーストラリア戦争記念館の豪日研究プロジェクト
Australian and Japanese attitudes to the war
海軍葬実況放送

[この放送録音 を聞く: 14 Mb][1]

オーストラリア国営放送による日本軍特殊潜航艇乗員海軍葬実況放送録音日本語ナレーション (1942年6月10日挙行)
この日本語版は、おそらく1950年代にナレーションを担当したオーストラリア国立放送のフレッド・シンプソン氏が日本訪問の際に録音を持参し、日本語による解説が加えられたものと思われる。

1942年5月31日、シドニー湾で戦死した日本軍将兵の火葬の儀式をお伝えいたします。

祖国日本のために命を捧げた4人の勇敢な日本軍将兵の火葬の儀式が、まもなく行われようとしています。私たちは日本の政策を憎んでいるのです。けれども己を捨てて祖国のために勇敢に死んだ人々は、世界のいずれの国でも褒め称えられています。式場にはオーストラリア海軍の高級将校、従軍記者、新聞記者、それに一般市民も参列しています。そしていずれも勇敢な4人の日本軍将兵に、国境を超え民族を超えた尊敬の念を払っています。

今2列の海軍儀杖隊が整列しました。海軍儀杖隊捧げ筒の号令で、将兵は整然と捧げ筒を行っています。日本海軍の将兵たちの柩が2列の儀杖隊の間を緩やかに運ばれてきました。

士官の号令によって、発射隊は正確な歩調で静々と柩の後に従い、柩は今、斎場に安置されました。

今、柩は日本の国を象徴する日の丸の国旗で覆われました。今日はキリスト教による埋没の儀式は行われないことになっています。と申しますのは、戦死した日本の将兵はキリスト教徒であるかもしれませんが、彼らの祖先が崇拝していた日本の神を信じていたかもしれません。そして今はそれを確かめることができないからです。

今4つの柩が徐々に運び出されました。参列者は黙祷を奉げています。4つの柩はまだ日の丸の旗で覆われています。日の丸の旗で覆われている、それ以外この簡素な儀式については何もいうことはありません。柩は全部火葬室に置かれました。

指揮官の最後の号令で、発射隊は死者に対して最後の敬礼を奉げます。「発射隊止まれ」の号令がかかりました。儀杖隊は銃剣をつけました。発射隊は空に向かって空砲を発射して、死者に最高の礼を奉げています。指揮官が奉げ筒を命じ、この式を終わりました。




1. 録音テープ提供者:熊本県山鹿市松尾和子氏

Printed on 11/05/2024 10:27:51 PM