オーストラリア戦争記念館の豪日研究プロジェクト 2002年5月1日オーストラリア国会議事堂内で催された昼食会にて
Australian and Japanese attitudes to the war
小泉純一郎首相のスピーチ
[このスピーチ を聞く: 18 Mb][1]
Ladies and gentlemen, please welcome his Excellency, Prime Minister of Japan.
ジョン・ハワード首相閣下ならびに令夫人。(不明)の皆様
本日はかくも盛大な昼食会を催していただき、また暖かい言葉をたまわりありがとうございます。
Thank you very much for kind and encouraging words, Prime Minister Howard and the opposition leader. I am going to Sydney from now to make a speech in English in Sydney. But here, I am going to make my speech in Japanese.
4年前、私は厚生大臣としてオーストラリアを訪問いたしまして、当時の厚生大臣ウルドリッジさん、こちらにお越しのスミスさんから大変暖かい歓迎をいただきました。美しいいい思い出として今でも残っております。
Twelve years ago, as a Health Minister (I visited Australia and), Mr. Wooldridge and Mr. Smith welcomed me. I have a very happy memory.
シドニーで演説しますので、今日は簡単にお礼だけを述べさせていただきたいと思います。
何回かオーストラリアを訪問していますが、キャンベラは今日が初めてですが、こうして大勢の多くの皆様にお会いできて、そして先ほどはハワード首相はじめ閣僚と率直な有意義な会談ができて、大変すばらしい訪問だったと喜んでおります。
日豪両国は50年以上にわたって、きわめて友好な関係を築いてまいりました。アジア太平洋地域において、もっとも成功している友好国関係だと思っております。先ほどのハワード首相との会談で、これからも日豪両国は総合的なパートナーとして、友好協力関係を強化していきたいと合意いたしました。ハワード首相の強い改革への情熱と決意を私も見習って、日本経済の再生にこれからも懸命の努力をしていきたいと思っております。
特に私はオーストラリア政府ならびに国民の精神に、高い精神に対して感銘を覚えているひとつの出来事を、印象深く今でも心に留めております。約60年前、日本の特殊潜航艇、ミジェットサブマリンですかね、シドニー湾にサブマリンが潜航してシドニー湾を攻撃しました。何人かはオーストラリア海軍に捕まり、敵国の兵士として、本来ならば憎しみと敵意を持って遇されるのが、普通の国の態度だと思います。この昼食会が終わってから、キャンベラの戦争博物館にその潜航艇が今でも展示されていると聞いていますが、私はこれから見学に行きます。しかし当時の海軍大将、オーストラリア海軍は、その日本の敵国の兵士に対して、侮辱と敵意ではなくて、勇者として礼節をもって遇しました。当時は海軍として最高の礼節を持った海軍葬をもってその兵士を葬りました。そしてその遺体を日本国に返還しました。約20年後、その亡くなった兵士に対する接し方に対して、母親が、オーストラリア国民に感謝と自分の息子の慰霊に訪れました。当時のオーストラリア国民と時の首相ゴートン首相は、暖かくその母親を「勇者の母来たる」と言って歓迎してくれました。敵国の兵士に対してこれほどの礼節と寛大さを持って遇する国民を私は知りません。
過去は大事です。過去を忘れることはできませんが、過去の困難を乗り越えて、苦難を乗り越えて、未来に向かって友好関係を築くことが大事であることを身をもって示しているのが豪州と日本の間ではないでしょうか。
これからも日本と豪州はお互い協力できる分野がたくさんあります。この未来に向かって強固な友好協力関係を発展させていきたいと思います。本日は本当にありがとうございます。
注
1. 録音テープ提供者:熊本県山鹿市松尾和子氏
Printed on 11/25/2024 12:40:32 AM